社会において観測されるさまざまな現象は、なぜそれが起きたかわからない「複雑さ」を持っています。現象の複雑さの根源は、社会における要素それぞれにあるのではなく、要素の関わりの中にあるといえます。すなわち、複雑さは関係性から立ち現れる性質を持っています。私たちの研究では上記を踏まえて、ネットワークやエージェントモデルをアプローチの道具とし、実際の観測データを用いながら、さまざまな社会的現象を分析しています。
本研究室は社会シミュレーションを取り扱うことが一つの特長ですが、社会シミュレーションに関する授業のイントロダクションの下記動画でその雰囲気を知っていただくことができます。(2020年4月に行った授業です。)
本研究室が扱っている分野は多岐にわたりますが、代表的なものとして、イノベーション・サプライチェーン・SNSの研究などがあります。
世界を驚かせるような大発見は、ともすれば一人の天才等に焦点が当てられがちですが、実際にはほとんどの発見やそれに伴う変革(イノベーション)はチームが生み出した成果です。本研究では、どのようなチームがより大きな発見を生み出す可能性があるのかを明らかにし、企業の戦略や国家のイノベーションシステム構築に資することを目的としています。
経済的競争は世界的な規模となり、企業は変化へのさらなる対応力を求められていると言えます。結果として企業はより身軽になろうとし、他の企業との取引や協力関係により競争力を確保しています。このような相互に依存している状況では、倒産や災害といった環境の変化が大きな波及効果を生み出し、結果を予測しづらいといえます。本研究では、そういった変化の波及はどのように起きるのかを明らかにし、企業の戦略や政策の立案に資することを目的としています。
人が活動する社会はいずれも複雑な振る舞いを示しますが,上記のイノベーションや経済活動だけでなく,SNSから観察できる人の言論等の様子のような大規模なものから,スポーツのように小規模なものまで,本研究室ではデータが入手可能なものは幅広く扱っています.そのようなデータに対して,ネットワーク科学や機械学習を適用し,社会に潜む構造や繰り返し現れるパターンを明らかにし、その社会のより深い理解に資するよう研究を進めています.
本研究室では、隣接するスーパーコンピュータ「富岳」の利用や、そのために必要な理化学研究所との共同研究をはじめ、数多くの大学・研究機関との共同研究を進めています。この理由は社会シミュレーションという非常に大きな学問においては、さまざまな専門家の知見・技術を必要とされることと対応しています。そのため本研究室では、日本のみならず世界中の共同研究先にいる、たくさんの優秀な研究者と接する機会があります。したがって、知的な冒険心のある学生の方がきっと満足できる場所になると思います。入学を希望される方の問い合わせをお待ちしています。
情報科学研究科は2021年度より開設されました。入試その他の情報については、研究科ホームページを参照ください。