社会シミュレーション研究室

社会のつながりを捉え、変化のゆくえを探る。

人や企業のつながりから、社会の複雑な動きは生まれます。私たちは実社会のデータをもとに、ネットワーク科学・機械学習・シミュレーションを組み合わせ、経済・交通・イノベーションなどの現象を理解・予測し、よりよい社会に向けた選択を探究しています。

教授 井上 寛康 / Hiroyasu Inoue

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Arai TakaoとHiroyasu Inoueの共著論文が、PLOS Oneに掲載されました(2026年9月9日)。

企業や大学が持つ大量の特許の中から、事業化につながるものを見つけるには、専門家による調査に時間と費用がかかります。ライセンス契約は技術の商業的な価値を示す手がかりであり、契約される可能性を予測できれば、優先して検討する特許を絞り込めます。

本研究では、米国の特許624,129件を用いて、1年・3年・5年以内のライセンスを予測する4つの手法を比較しました。まだ契約されていない特許も将来ライセンスされる可能性があるため、契約までの時間を扱う「生存時間分析」と深層学習を組み合わせています。

比較の結果、シンプルなDeepSurvが、より複雑なモデルに匹敵する予測性能を示しました。今回の評価では、予測上位10%を選ぶことで、ライセンスされた特許の約91%を捉えています。モデルを複雑にするより、特許の特徴を適切に学習することが重要だと分かりました。これは、特許の活用や技術移転に向けた候補選びを効率化するための知見です。

論文の図3:4モデル・3予測期間でのRecall@Kの比較
図3:予測性能の比較。Arai & Inoue (2026), PLOS One, CC BY.
PLOS Oneの論文掲載ページ
PLOS Oneの掲載ページ

論文を読む(オープンアクセス)

(学生による投稿)2026年9月3日
M2の伊藤くんが、福岡県北九州市で開催された第25回情報科学技術フォーラム(FIT2026)に参加しました。

井上寛康の寄稿「大災害に日本経済は耐えられるか」が、PHP研究所の『Voice』2026年10月号(2026年9月4日発売)に掲載されました。

本寄稿は、特集1「災害にどう立ち向かうか」の一編として掲載されています。

『Voice』2026年10月号の紹介・目次

Research interests

研究分野

ネットワーク科学

流行や経済危機,紛争など社会には興味深い現象がありますが,その背後にはネットワークがあります.ネットワーク科学は,世の中のありとあらゆるところに観察される「ネットワーク」を研究する分野です.ネットワークとはすなわち関わり合いのことであり,人や企業,分子,電子部品など,つながれたものであればなんでも対象になりえます.つながれているがゆえに予想もつかない変化が起きる,そういう現象に対する研究です.

社会シミュレーション

社会における現象のほとんどは正確なメカニズムがわかりません.人口の変化や世論の形成のような大きなことから,交通渋滞,サッカーなどスポーツにおける選手の動きのような小さなことまで,人が複数関係すると突如としてそのメカニズムは複雑になり理解が困難になります.そのメカニズムの理解のためのアプローチとして,たとえば言葉で書いてみることは可能ですが,厳密性に欠けます.一方で,物理学のように式で書くこともできますが,そのような式が表現できることは非常に限られています.いわばこれらの中間として,プログラムとして記述することによるアプローチを社会シミュレーションと呼びます.コンピュータの上で社会を再現し,社会の理解を深めようとする分野です.

人工知能

人工知能の歴史は非常に古く,何度も流行と不遇の時代がありました.現在再び脚光を浴びていますが,今までと異なることは,かなり実用的に使われるようになったという点にあります.私の研究室では,主にネットワーク科学・社会シミュレーションの観点から,データにモデルを合わせる最適化でよく用いられます.また社会シミュレーションは人工知能の一分野であるマルチエージェントシステムに分類されます.

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所属学会

井上研究室

兵庫県立大学
大学院情報科学研究科
〒650-0047兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-28
計算科学センタービル兵庫県立大学